こんにちは、指導員の菅原です。
前回は、稽古内容の設計に込めた思いについてお話しました。
今回は、稽古で得られる「心の強さ」について触れてみたいと思います。
果たして武道で心は強くなるのか?
「武道で心と身体を強くしよう」という広告を見たことがある方は多いのではないでしょうか?
(実は私も、道場の広告を作るときにはこのコピーをよく使います。)
武道は体は強くすることに一躍買ってくれることでしょう。
では、心までも強くしてくれるのでしょうか?
私の考えは、「強くなるけどコツが必要」です(煮え切らない答えですみません)。
そもそも心の強さとは
心理療法士のエイミー・モーリンは彼女の著書で「メンタルの力」についてこう語っています。
「メンタルの力とは、どんな状況においても、自分の感情や思考の手綱を握り、価値観に従って前向きな行動を取る力である」
これからは、心の強さ=彼女の言うメンタルの力、捉えて、武道で心が強くなるのかを考えてみます。
「根性」をつければ心が強くなるわけではない
武道で心を強くできる、と言われるゆえんは、「根性」=「心の強さ」と考えてしまうからです。
でもエイミーさんの考えからすると、この「根性」は心の強さの全てを捉えることが出来ないことが分かります。
特に、「価値観に従って前向きな行動をとる」については、ただ武道を習うだけでは身につきません。
大切なこと1: 武道の助けを借りて、価値観を作る
武術が武道になる過程で、武道はそれぞれの精神性を持つようになりました。例えば、合気道は「和合の精神」と呼ばれる、相手と反発し合わずより良い関係性を構築することを精神性としています。
これは自己の価値観の形成に大いに役立つネタになり得ます。このネタを、価値観形成に如何に活用するかが、キモになります。
そして、その価値観を言語化して、常に心に留めておくとさらに良いでしょう。
大切なこと2: 価値観に従った行動を日常で訓練すること
価値観を言語化した後は、価値観に従った行動を如何にとるかが大切です。
簡単ではありませんが、価値観を反映した行動を、週次の目標を立てるなど、瞬発力に頼らない仕組みを取ると前進しやすいです。
このあたりは、また別のコラムで触れたいと思います。
まとめ
これらのことから、
「武道は心を強くする面もある。ただ、学んだことを価値観として蓄積し、日常で体現できるよう訓練をする努力が別途必要」
ということがまとめとなります。