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こんにちは、指導員の菅原です。
以前、上達を速める4つのステップについて触れましたが、同様のテーマに対して視点を変えて理解を深めていきたいと思います。
要点
- 技を覚える力は、理解力と表現力に分けられる
- 表現力に最も個人差があるが、鍛えることは難しい
- 表現力は反復練習を通じた動作のパッケージ化で補うことができる
技を覚える能力を言語化してみると・・・
合気道を大人と子供と一緒にしていると、技の覚え方に違いがあることが分かります。また、大人の中でも覚えの早い人とそうでない人がいます。それぞれどんな違いがあるのでしょうか?
技を覚えるための能力はざっくり分けると2つあります。一つは技を体系的に把握し記憶する「理解力」、もう一つは覚えたことを身体でそのまま実行する「表現力」です。
それぞれの力をもう少し解説します。
合気道で問われる「理解力」とは、お手本の動き方を見て、自分が身体をどう動かせばいいか体系立てて理解する力のことです。
理解力があると、「最初に手と足を斜め前に同時に出して、次に〜」という手順を自分の言葉に翻訳して、脳内で再生することができます。
経験上、子供よりも大人の方が理解力は高いです。小学校高学年くらいになってくると、大人の能力に近くなって来るようです。
「表現力」とは、見て理解したことを自分の身体で正確に表現する力です。手足を斜め前に同時に出すという例をとってみても、どうしても手足がバラバラに動いてしまいます。表現力には、大人と子供に大きな差はありません。
「表現力」が覚える速さを決める
理解力と表現力についてお話しましたが、覚える速さを決めるのは表現力の方です。
審査の前は特に、「頭では分かってはいるんだけど、どうしてもできない」「いつも同じところで間違ってしまう」といった悩みを多く聞きます。
頭と身体に差があるわけです。
よくスポーツに関して覚えの早い人を「センスがいい」「運動神経がある」なんて言ったりしますが、これは身体が優れているというよりは「頭と身体の差が少ない」というのが適切と言えます。
表現力は鍛えるよりも“補う”ことが大切
では、どのようにして表現力を鍛えれば良いのでしょうか?
これは明確な答えはありません。鍛えることは容易ではないはずです。
諦めるしかないのか?
そうではありません。表現力は補うことができます。補うためには、反復練習が一番です。何度も何度も同じ動作を行い、身体に動きを染み込ませるのです。
反復練習はとにかく回数を重ね、パッケージ化する
稀に、一度成功すると「はいはい、こうやるのね、わかった」と言って、反復練習をやめてしまう人がいます。そういう方は、いざ審査のときに頭が空っぽになって、成功する前の動作をしてしまいます。
大切なのは、頭が空っぽの状態でもできるように数多く反復練習なることです。そうすることで、合気道に特に多い、複数の部位を同時に動かす動作を一つの動作としてパッケージ化できます。特に疲れたときに行うと効果が高まります。
パッケージにしたものは脳内リソースをあまり使わないので、審査のときに頭が空っぽになっても問題なく表現できます。また、別の動作を覚える際も、パッケージにしていれば、一から覚える必要がなく、合気道を覚える速さは増していきます。
まとめ
これまで合気道の技を覚えることについて考察してきましたが、ポイントとしては、
- 技を覚える力は、理解力と表現力に分けられる
- 表現力に最も個人差があるが、鍛えることは難しい
- 表現力は反復練習を通じた動作のパッケージ化で補うことができる
といえます。
頭を空っぽにして反復練習することで、合気道の上達は速めることができます。1人では中々できないので、だからこそ仲間と稽古するんですね。