不易流行と稽古の進化

こんにちは、指導員の菅原です。
前回、前々回と、合気道上達の方法について予習・復習の観点から論じてきました。

今回は、ガラッと話題を変えて、合気道の稽古をどのような思いで設計しているかお話したいと思います。

指導の系譜

合気道の稽古を設計する際には、様々な思いを込めていますが、特に大切にしているのは、私が合気道を理解する倍の速さで生徒の皆さん合気道を理解してもらうことです。

私はこれまで素晴らしい先生に合気道を教わってきました。イギリス出身のマリック先生、アメリカ出身のクリス先生、フランス出身のパイエ先生といったワールドワイドなエッセンスを本当に懇切丁寧に指導いただきました。

そんな私がこれから合気道を始める方に何を伝えるか。本当に難しいのですが、教わったエッセンスを自分なりに体系化し、1年かかって覚えたことを半年で理解できるように編纂したいと思っています。

「俺と同じように壁にぶち合ってほしい」にあらがう

合気道の生徒や後輩に対して、「俺と同じようにやってみろ」と言いたくなることが多々あります。過去の自分と同じ悩みを感じた人を見ると「壁にぶち当たったか、俺も昔はな〜」と先輩風を吹かせたくなります。

先輩風を吹かせるときはとっても気持ち良いものです。優越感や万能感に浸れます。「この障害はあいつにとって必要だった」なんて正当化も容易です。

でも、この気持ちよさは合気道にとって真摯ではないと思っています。

合気道を自分の番で停滞させない

自分と同じ悩みを生徒がもったということは、結局先人が進化させてきた教えを、自分の所で停滞させているといえるのではないでしょうか。

自分の経験から、予めつまづく箇所がわかっていれば、未来の合気道家はもっと先に行くための手助けができるはずです。

例えば、(マニアックな話になりますが)投げ技をする際に重心を低くできないという悩みに対しては、技の練習を繰り返すよりも、稽古前に鼠径部のストレッチをするだけで、実はいとも簡単に解決できる、といった感じです。

「不易流行」という考え方

合気道は100年の歴史があり、きれいに体系化されています。特に精神性などは現代において忘れられた大切なメッセージを含んでいます。しかしながら、過去のすべてが唯一無二の正解であるとも思いません。

大切なのは、昔ながらの考え方や要素を大切にしつつ、現代的な手法論にアップデートすることです。後から教わったのですが、この考え方を「不易流行」と言うそうです。

まとめ

合気道のクラスで大切なのは、自分の倍の速さで上達してもらうことこの姿勢は、合気道の先人の方々へのリスペクトを表現したものであり、合気道を進化させるという責任からきている不易流行という考え方に則り、昔ながらの考え方を大切にしつつ、現代的な手法で合気道を再構築したい